知的障害教育を解説 鶴南特支校長の分藤さんら ガイドブック出版 「先生たちの役に少しでも立てば」

2024/02/07 [11:30] 公開

「知的障害教育スタンダード」を出版した分藤さん=長崎市、県立鶴南特別支援学校

「知的障害教育スタンダード」を出版した分藤さん=長崎市、県立鶴南特別支援学校

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 長崎県立鶴南特別支援学校長の分藤賢之(のりゆき)さん(55)が中心となり、特別支援教育の学習指導要領などを踏まえたガイドブック「知的障害教育スタンダード」(ジアース教育新社)を出版した。分藤さんは「現場の先生たちの役に少しでも立てば」と話している。
 児童生徒が障害の有無にかかわらず一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」推進のため、文部科学省は2017年に小・中学部、19年に高等部の学習指導要領を改定。それまで小中高の教育課程と扱う各教科の内容が異なっていたが、「学びの連続性」を重視した。
 少子化社会だが特別支援教育を受ける児童生徒は年々増加。これに対応し、小中学校に置く「特別支援学級」や、通常学級在籍の児童生徒に対し必要に応じて別室で授業を行う「通級指導教室」も増えている。これらの経験が浅い教員が担当するケースも多く、分藤さんは日頃、現場の悩みを聞いてきたという。
 書籍は分藤さんを含め4人が執筆した。編集方針として、教員志望の学生や養成する大学教員にも役立つようにし、授業の実践事例も盛り込んだ。
 解説項目の一つは、計画的に教育活動の質向上を図る「カリキュラム・マネジメント」を分かりやすく進める方法。例えば、各学校で固定化された年間指導計画をどう組み立て直すかについては、特別支援教育では「応用が苦手」な児童生徒が少なくないため、複数の教科で関連した内容があれば指導時期を近づける。卒業後の進路を意識し、一人一人に応じたカリキュラムの作り方もアドバイスする。
 分藤さんは現場教員に向け「子どもたちが卒業後の進路や生活の中で『生きて働く力』を身に付けられるよう、この書籍を活用してほしい」と話す。B5判。192ページ。2530円。