第29回全国都道府県対抗男子駅伝大会は21日、広島市の平和記念公園前を発着する7区間48キロのコースで行われる。午後0時半スタート。長崎は5年ぶりの入賞に向けてベストメンバーがそろった。
20日は同市の広島国際会議場で開会式が行われ、選手たちが力走を誓った。能登半島地震の犠牲者へ黙とうをささげた。47都道府県チームの代表が都道府県旗を掲げて登壇し、長崎は木戸海秀(長与二中)が旗手を務めた。選手宣誓では佐賀代表の山﨑諒介主将(戸上電機製作所)が「1本のたすきに思いを込めて走る」と宣言した。
レースは、昨年大会新Vを飾った長野が節目となる10度目の優勝へ強力布陣。実業団選手を軸に初制覇を狙う大阪、層の厚い千葉、鹿児島なども有力候補に挙げられる。
長崎は前半にスピードランナーを並べた。昨年も1区3位と快走した川原(五島南高)で好発進を狙う。昨年12月の全国中学校駅伝で2年連続区間賞を獲得した2区百田(西諫早中)、実業団選手の3区林田(三菱重工)までで上位争いを確定させたい。4区古賀(鎮西学院高)、5区牟田(同)、6区俵(鶏知中)で粘れれば、7区には駅伝経験豊富な花尾(駒大)が待つ。
◎最強同級生コンビ 互いに刺激
長崎の一般2区間は、正月にニューイヤー駅伝を走った林田(三菱重工)と、箱根駅伝を走った花尾(駒大)が務める豪華な顔触れとなった。2人は桜が原中の同級生。友人として、良きライバルとして互いに高め合ってきた同志が再びタッグを組む。
主将を務める林田が3区8.5キロ、花尾がアンカー13キロを担い、ともに中学生からたすきを受ける。花尾の高校時代の恩師でもある入江監督(鎮西学院高教)は「この4年間、林田は実業団、花尾は大学でどちらも成長した。正月にあれだけ活躍した2人の存在は中高生のいい刺激になる」とチームへの相乗効果を期待する。
2人が脚光を浴びたのは2017年大会だった。林田は中学生区間の2区を区間新、花尾は6区を3位で走破。「桜が原中の最強同級生コンビ」と注目された。以来、それぞれのステージで活躍の場を広げてきた。
3000メートルの日本中学記録を樹立した林田は瓊浦高に進み、1500メートルでインターハイ3年連続入賞を達成。高校卒業後に入社した三菱重工でもハーフマラソン日本一となり、駅伝強豪実業団の主力に定着している。
花尾は鎮西学院高2年のインターハイで5000メートル8位となり、駒大の4年間で大学三大駅伝を制覇するなど華々しい陸上人生を歩んできた。今春からトヨタ自動車九州(福岡)で競技を続けることが決まっている。
都道府県対抗駅伝での思い出は多く、長崎が5位入賞した19年大会でもそろって出走。2人でたすきリレーを披露した。高校卒業前の20年大会でも共闘し、今回はともに4年ぶりの出場となる。
互いを「キョウちゃん」「ヒロト」と呼び合う2人。号砲を前に、林田が「久しぶりに同じチームで走れる喜びをかみしめている。アンカーにいい位置で渡せるように主将らしい走りをしたい」と言えば、隣で聞いていた花尾も「大学と社会人で立場は違っても、お互いに結果を見たりして刺激を受けてきた。最後に一緒に走れるのはうれしい」と応じた。互いへの感謝と、これからも続いていく陸上人生へのエールを込めて安芸路を駆ける。