二酸化炭素(CO2)削減に取り組む雲仙市などは7日、し尿処理施設「市環境センター」(同市国見町)で稼働を始めた木質バイオマスボイラーを報道関係者に公開した。燃料を重油から間伐材などに転換することで、資源や経済を循環。年間で重油を約9割削減、CO2排出量を289トン減らせる見込み。
同センターでは、し尿を無害化する際に生じる汚泥を高温の湯が流れるパイプの熱を基に発酵、乾燥させて汚泥発酵肥料「グリーンポス」として再利用。この湯を温め続けるためボイラーを稼働して、年間約11万6千リットルの重油を使っていた。
市は、化石資源ではなく再生可能なエネルギー「バイオマス」を使うボイラーを建設する事業者を公募。選ばれた宅島建設(同市小浜町)がボイラーを今年6月に完成した。規模は230キロワット。建設費は約1億5千万円。林野庁の補助を活用している。県によると木質バイオマスボイラーは県内で10施設目。
燃料は島原半島を中心に、雲仙森林組合(同)など林業者の間伐材や未利用材と、建設会社などから出る残材を生かす。これらの木材を、宅島建設のグループ企業で産廃処理やリサイクル業を手がける「クリーン雲仙」(同)が集め、木質チップに加工する。
チップを燃やした熱を市が購入する。従来の重油代は年間予算約1500万円。木質チップに転換しても費用面での削減効果は大きくないという。
だが、「CO2を300トン近く減らせる点がメリット。エネルギーの地産地消にもつながり、高騰する化石燃料や円安の影響を受けにくい」と市環境政策課の森知洋課長補佐。宅島建設の竹野由一常務は「熱量を安定供給して、さらなる貢献をしたい」と話した。
グリーンポスは1袋(15キロ)90円。年間約1万2千袋を生産し同センターなどで販売。化学肥料が値上がりしているため、現在は品薄気味。問い合わせは同センター(電0957.78.2817)。