離島医療のデジタル化議論 持続可能な体制目指す 長崎でシンポジウム

2023/07/14 [10:26] 公開

パネル討論でデジタル技術などを活用した地域医療の課題解決などについて意見を交わす参加者=長崎市尾上町、出島メッセ長崎

パネル討論でデジタル技術などを活用した地域医療の課題解決などについて意見を交わす参加者=長崎市尾上町、出島メッセ長崎

大きい写真を見る

 「長崎からG7のその先へ-デジタル×地域医療の未来図-」と題したシンポジウムが12日、長崎市内であり、大石賢吾知事や専門家らが持続可能な医療体制などについて議論した。東京財団政策研究所(東京)が開き、会場とオンライン計約350人が参加した。
 大石知事は「デジタルで進化する長崎の保健医療」をテーマに基調講演した。本県の現状について離島が多く、高齢化率が全国平均よりも高いと説明。五島市の二次離島で取り組んでいるオンライン診療や、診療情報を医療機関や薬局で共有する「あじさいネット」などを紹介した。デジタル化などを進め「どこに住んでいても必要な医療を受けられるまちを目指したい」と話した。
 パネル討論ではオンラインも含め7人が登壇。鹿児島県の離島医療などに取り組む望月礼子医師は、現在のオンライン診療では分からない呼吸音や心音などの所見も機器の導入で解決できる可能性があると指摘。本土への搬送の手段が限られている離島では「市民に早期の受診・通報を心がけてもらうような教育が大事だ」と話した。
 同研究所の坂元晴香主任研究員は5月に長崎市で開かれた先進7カ国(G7)保健相会合でテーマになった、あらゆる人に適切で公平な医療を届けるユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)について「安全な水や電気に加えて今後はデジタル環境が基本的なインフラとして重要になる。長崎県の取り組みはUHC達成の好事例として世界に発信できる」と話した。