「サーモン」の陸上養殖始まる 長崎・東彼杵 休園した野外施設を活用 来年にも出荷「特産品に」

2023/06/22 [12:30] 公開

トラウトサーモンの陸上養殖水槽=東彼杵町中岳郷

トラウトサーモンの陸上養殖水槽=東彼杵町中岳郷

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 長崎県東彼東彼杵町の旧龍頭泉いこいの広場で21日、トラウトサーモンの陸上養殖が始まった。養殖を始めたのは広場内でキャンプ場を運営するNOMURA(大村市)。野村一社長は「そのぎ茶に続く、新たな特産品に育てたい」と話している。
 同広場は1982年にオープンした町有の野外施設。老朽化や利用者の低迷で、2020年に新たな指定管理者が決まらず休園した。町は民間による施設の有効活用を目指し、22年、同社に売却した。
 同社は「桃太郎サーモン」のブランド名で陸上養殖を手がける「ひらやま」(熊本県八代市)の生産者組合に加入。魚やノウハウの提供を受けて育て、組合を通じて長崎、佐賀に出荷する。「桃太郎サーモン」はニジマスを養殖用に品種改良したトラウトサーモン。敷地内には地下水で満たした直径5メートルの水槽4基を設置した。水槽の水を使い野菜の水耕栽培も試みる。水槽は今後、増設する。
 ひらやまの平山正社長によると、サーモンの多くは輸入に頼っており、ロシア・ウクライナ情勢で価格も上昇している。「桃太郎サーモン」は、甘みがあり、うま味成分は海外産よりも高く、生で出荷できる鮮度の高さが売り。大手スーパーやレストランなどと取引があり「サーモンでまちを活性化するお手伝いができたら」と話す。
 21日、鳥取県から運ばれた生後1年前後の約3千匹が水槽に入った。野村社長は「約10万平方メートルの敷地と自然の恵みを生かせないか考え、陸上養殖にたどりついた」と振り返った。早くて1年程度で出荷できるとみている。