長崎県島原市郊外の杉谷地区で日量千トン規模の地下水供給が期待できる水脈が見つかったことが14日までに分かった。市が市有地を電磁探査するなどして1月に発見。市は年内に水量や水質の本格調査を行い、工業用地への変更を検討する。将来的に半導体関連企業の誘致を目指すとしている。
同市によると、市内には雲仙山系の地下水が70カ所以上湧き、市全体で日量約20万トン。市街地の白土湖(しらちこ)では同約3万トン湧いているが、周辺は大規模工場を建てられない住居専用地域などで、大量の水と広い敷地が必要な半導体関連の企業誘致は難しかった。
電磁探査したのは同市宇土町の杉谷運動広場(約1.5ヘクタール)とその周辺。標高約180メートル地点にあり、探査画像によると、帯水層は標高マイナス約170メートル付近まで広がっている。
市商工振興課は同広場について「土地の用途を決めていない白地地域で、工業用地への転用は可能。周辺の山林も活用すれば計約6ヘクタールに拡張できる」と本格調査に期待を寄せる。
古川隆三郎市長は取材に「有明海沿岸では台湾積体電路製造(TSMC)など半導体関連企業が集積し始めている。熊本港までフェリーで1時間、中核工業団地がある諫早まで車で1時間を切る立地を生かし、半導体関連企業の誘致を目指していきたい」と話した。
企業誘致に取り組む県産業振興財団(長崎市)の福重武弘本部長は「熊本のTSMCは日量1万2千トンの地下水をくみ上げるというが、日量千トンクラスの工業用水があれば半導体製造の一部工程や、半導体製造装置関連企業を誘致できる可能性がある」としている。