長崎県教委の中﨑教育長は1日、長崎市桜木町の県立長崎特別支援学校(中村由美校長、52人)で、たん吸引などが日常的に必要な「医療的ケア児」の通学の状況を視察した。ケア児の登校を巡っては、車で送迎する保護者から負担軽減を求める声が上がっており、支援策を検討するのが狙い。
午前8時半ごろから子どもを乗せた車が同校の駐車場に到着。玄関先で待っていた教員が駆け寄り、保護者から荷物を受け取ったり、子どもを抱えて車いすに移動させたり。事故が起きないよう教員間で無線を使い連絡を取るなどして車を誘導していた。中﨑教育長は中村校長から説明を受けながら通学の様子を見守った。
同校にはスクールバスもあり、介助員1人が同乗する。同市松山町の県営野球場を出発し、約1時間で到着。だが県教委によると、安全の確保上、ケア児は原則対象外。車内でケアが必要ない場合などは、主治医の意見も参考に校長の判断で利用できる。
同校によると、現在、通学のケア児は17人で、1人がバスを利用。他の16人は保護者の車や福祉タクシーなどで登校している。
複数の保護者によると、車で登校する場合、深夜のケアで寝不足だったり、子どもの状態に気を配ったりして、運転が危ない時もあるという。福祉タクシーもケアが必要になった時に備え保護者が付き添っているが、負担軽減のため保護者の代わりにケアに対応できる看護師の同乗を求める声もある。
視察後、中﨑教育長は「通学の状況や校内でのケアの様子を見て、一生懸命取り組まれている教員や看護師の姿に感銘を受けた。通学支援は医療資源や財源などさまざまな課題があるが、県福祉保健部など関係機関と連携し前に進められるよう検討したい」と述べた。
県教委によると、昨年5月現在、ケア児77人が県内七つの特別支援学校に通学。うちスクールバスがある4校には59人が通い、9人がバスを利用しているという。
医療的ケア児の通学支援「進めたい」 長崎県教育長が特支を視察 課題検討へ
2023/06/02 [11:00] 公開