奈良県大和郡山市で2022年に見つかった石製の観音像が、長崎・浦上村の潜伏キリシタンに由来する「マリア観音像」ではないかとみて、関西の大学と奈良文化財研究所の研究者チームが、材質を科学的に分析して調べている。チームは「キリシタン史の新たな可能性に迫りたい」と意欲を見せている。
チームは四天王寺大の仲野純章准教授(材料工学)、龍谷大の松浦哲郎特任講師(メディア学)、奈良文化財研究所埋蔵文化財センターの上椙英之研究員。長崎市の浦上キリシタン資料館も情報提供などで協力している。
浦上村の潜伏キリシタンは幕末維新期の弾圧「浦上四番崩れ」で全国各地に流刑となり、旧郡山藩には86人が預けられた。大和郡山市内の流刑者収容所跡に隣接した古民家では22年11月、改装作業中に石製観音像が見つかった。像は高さ11・5センチ。屋根裏納戸の炭鉢に保管されていた。
浦上村の潜伏キリシタンは江戸幕府の禁教令下で、観音像を聖母マリア像に見立てた「マリア観音像」を隠し持って拝んでいた。研究チームは大和郡山で見つかった石製観音像が、マリア観音像に似ていることに着目した。
東京国立博物館が所蔵するマリア観音像の多くは中国南部で製造された白磁だが、中には、ろうのような光沢と質感を持つ「蝋(ろう)石」で作られた像もある。研究チームは石製観音像の材質から由来を探ろうとアプローチ。放射光を利用して材質を分析すると、蝋石の一種「葉蝋石」に由来するとみられる鉱物が含まれていた。
研究チームによると、葉蝋石の国内の主要産地は岡山県備前市と五島市。仲野准教授は今月中旬、五島市の五島鉱山を訪れ、葉蝋石のサンプルを採取した。今後、備前市で採取したサンプルと共に分析し、石製観音像の材質と比較していく考えだ。
仲野准教授は、かつて潜伏キリシタンが暮らしていた五島市で集落や教会を巡り、マリア観音像に関する情報を収集した。「大和郡山の観音像に似ている像があれば情報を寄せてほしい」と呼びかけている。
仲野准教授のメールアドレスはs_nakano@shitennoji.ac.jp
チームは四天王寺大の仲野純章准教授(材料工学)、龍谷大の松浦哲郎特任講師(メディア学)、奈良文化財研究所埋蔵文化財センターの上椙英之研究員。長崎市の浦上キリシタン資料館も情報提供などで協力している。
浦上村の潜伏キリシタンは幕末維新期の弾圧「浦上四番崩れ」で全国各地に流刑となり、旧郡山藩には86人が預けられた。大和郡山市内の流刑者収容所跡に隣接した古民家では22年11月、改装作業中に石製観音像が見つかった。像は高さ11・5センチ。屋根裏納戸の炭鉢に保管されていた。
浦上村の潜伏キリシタンは江戸幕府の禁教令下で、観音像を聖母マリア像に見立てた「マリア観音像」を隠し持って拝んでいた。研究チームは大和郡山で見つかった石製観音像が、マリア観音像に似ていることに着目した。
東京国立博物館が所蔵するマリア観音像の多くは中国南部で製造された白磁だが、中には、ろうのような光沢と質感を持つ「蝋(ろう)石」で作られた像もある。研究チームは石製観音像の材質から由来を探ろうとアプローチ。放射光を利用して材質を分析すると、蝋石の一種「葉蝋石」に由来するとみられる鉱物が含まれていた。
研究チームによると、葉蝋石の国内の主要産地は岡山県備前市と五島市。仲野准教授は今月中旬、五島市の五島鉱山を訪れ、葉蝋石のサンプルを採取した。今後、備前市で採取したサンプルと共に分析し、石製観音像の材質と比較していく考えだ。
仲野准教授は、かつて潜伏キリシタンが暮らしていた五島市で集落や教会を巡り、マリア観音像に関する情報を収集した。「大和郡山の観音像に似ている像があれば情報を寄せてほしい」と呼びかけている。
仲野准教授のメールアドレスはs_nakano@shitennoji.ac.jp