長崎くんち楽しんで! 県庁に障害児用休憩所を設けた男性…友人の声きっかけ「アイデア次第」

2024/10/08 [11:25] 公開

重症心身障害児用の拠点を企画した安永さん=県庁

重症心身障害児用の拠点を企画した安永さん=県庁

  • 重症心身障害児用の拠点を企画した安永さん=県庁
  • 興善町の本踊「石橋」を見物する重症心身障害者ら=県庁
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諏訪神社(長崎市上西山町)の秋の大祭「長崎くんち」が開幕した7日、諫早市の会社員、安永年軌さん(34)が重症心身障害児用の休憩拠点を長崎市尾上町の県庁1階に設けた。「障害の有無で我慢する子や家族、施設職員らがいると知り、アイデア次第で何とかできるのではと思った。くんちは心意気」と語る。
 拠点を企画したのは昨年末ごろ。重症心身障害児の通所施設を経営する友人に、子どもたちと散歩などしながら長崎くんちを見物するのか尋ねると、ハードルが高くて難しいと返答があった。詳しく聞くと、横になったり、たん吸引や栄養注入をしたりする場所、重度障害を想定した多目的トイレ、移動に用いる大型福祉車両の乗降スペースなどの確保に課題があると知った。
 安永さんは2018年に椛島町の太皷山(コッコデショ)に担ぎ手として出演。庭先回りでは「体力が必要ですごく大変だけど、病院や施設の前で演(だ)し物を披露すると、涙を流しながら見てくれる人たちがいて力をもらう」経験をした。友人の話に「ひとごとにしたくない」と一念発起。4歳の子を育てる親でもあり「健常者も障害者も関係なく、たくさんの子どもたちにくんちの楽しさを知ってもらいたい」と力が入った。
 拠点は露店が並ぶ元船町のお旅所に近く、設備や交通面を考慮して県庁1階ロビーの一画。パーティションで約15平方メートル囲った。
 7日午前11時過ぎ、市内の医療的ケア児の通所施設「Ohana base」の利用者3人が訪れ、庭先回りで県庁を訪れた興善町の本踊(ほんおどり)「石橋(しゃっきょう)」をにこやかに見物。車いすでお旅所へ向かい露店を楽しんだ。
 同施設の片峰礼花代表は「休憩スペースを拠点に移動できるため、3人は初めておくんちを経験した。外出するにも大荷物になるため人手が必要。手伝いがあるだけでも全然違い、ありがたい」と話した。拠点は9日までで事前予約制。時間は午前10時~午後3時まで。