五嶋町・龍踊 南部さん(46) 龍を優雅にあしらう玉使い <長崎くんち千紫万紅・6>

長崎新聞 2024/09/29 [10:13] 公開

宝珠衆として優雅に龍をあしらう南部達克さん=長崎市上西山町、諏訪神社(田中英樹撮影)

宝珠衆として優雅に龍をあしらう南部達克さん=長崎市上西山町、諏訪神社(田中英樹撮影)

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躍動感あふれる青龍と白龍の2体の龍が、静と動を織り交ぜながら不老長寿の源とされる月を追う。
 2000年から龍踊を奉納する五嶋町。龍を操る「龍衆(じゃしゅう)」と月に見立てた玉を持った「宝珠衆(ほうじゅしゅう)」、囃子(はやし)の子どもらも合わせて計約150人で「生きた龍」を演出する。
 宝珠衆として4度目の出演となる南部達克さん(46)は、年齢的に今回で最後と考えている。五嶋町で生まれ育ったが、かつて本踊を奉納していたため、くんちに参加できなかった。幼い頃、くんちに憧れ、兄と一緒にはたきを使い采振(さいふり)のまねをしたり、長い棒を龍踊に見立てて走ったり、「くんちごっこ」をしたこともあった。
 22歳の時、演(だ)し物が龍踊に変わったことで、あこがれだったくんちに出演。かっこよさにひかれ、宝珠衆に挑戦し、がむしゃらに玉を振った。ただ、今は違う。他の踊町の龍踊を研究し、荒れ狂う龍を優雅にあしらう玉使いを意識。「龍に目がいきがちだが、玉にも目がいく演技をしたい」と意気込む。
 今回、雷雨を表す打楽器「パラパラ」で長女の妃七さん(11)=長崎市立桜町小5年=、小鈸で長男の銀斗さん(7)=同2年=、供唐人(ともとうじん)で次女の心花ちゃん(5)も出演。「くんちはたくさんの出会いがある。人と人とのつながりを大事にしてほしい」と達克さん。くんちを通して子どもたちが成長することを願う。
 さまざまな思いを乗せた2体の龍。諏訪の舞台で天高く舞う。