「風の音が怖い」 台風10号が長崎県通過 3331人避難…不安な夜 停電や運休、けが人も

2024/08/30 [09:41] 公開

台風10号接近に伴い、自主避難した住民=29日午後0時半、長崎市千歳町、北公民館

台風10号接近に伴い、自主避難した住民=29日午後0時半、長崎市千歳町、北公民館

  • 台風10号接近に伴い、自主避難した住民=29日午後0時半、長崎市千歳町、北公民館
  • 強風の影響で倒れたとみられる木が道をふさいだ=29日午前9時9分、大村市玖島1丁目
大きい写真を見る
台風10号が長崎県付近を通過した29日、長崎、雲仙両市など5市町が警戒レベル4に当たる避難指示を発令した。前日から避難所に身を寄せた高齢者らは「風の音が怖い」と不安な夜を過ごした。強風による負傷者や土砂崩れも各地で確認。道路の通行止めも相次いだ。
 29日午後7時時点で、各自治体が設置した計362カ所の避難所に3331人を受け入れた。長崎市千歳町の北公民館には約120人が身を寄せ、同市江川町の永田益来さん(83)は同日午前10時ごろ、近所の人と共に避難。「風が怖かった。家からは少し遠かったが、ここは窓も少ないし、雨風の音が聞こえにくいので少し安心」と話した。
 佐世保署などによると、同日午前9時30分ごろ、佐世保市上京町のアーケード内の看板が風にあおられ落下。50代女性が頭部に軽いけがを負った。島原市などによると、弁天町2丁目の市立温水プールの屋根が幅約30メートル、長さ約10メートルにわたってはがれたが、休場中でけが人はなかった。県などによると、雲仙市小浜町富津でのり面が高さ約10メートル、幅約20メートルにわたり崩落。同市と諫早市を結ぶ諫早湾干拓堤防道路では同日午前9時過ぎ、4トントラックが横転し、50代の男性運転手が病院に搬送された。
 九州電力によると、県内各地で停電が発生。同日午後7時時点で約1万200戸が停電した。五島市によると同市の二次離島、椛島で同日午前8時50分ごろから80戸が停電。作業員が荒天で島に渡ることができず、同日午後2時時点で復旧のめどは立っていないという。
 交通機関は30日も影響が続くもよう。JR九州の在来線は始発から運転を見合わせる(一部区間を除く)。西九州新幹線は点検後に本数を減らして運転する。松浦鉄道は始発から運休。長崎電気軌道や島原鉄道、県内各地の路線バスは、30日始発から運転を見合わせる。長崎と県外を結ぶ高速バスや、本土と五島列島などを結ぶ海の便も終日運休が決まった。
 県は30日午後4時から長崎市内で開く予定だった「九州新幹線西九州ルート整備促進シンポジウム」は中止すると発表。29日夜に予定していた第30回島原温泉ガマダス花火大会は10月3日に延期された。