長崎県佐世保市立神町の立神広場と広場内にある立神音楽室について、国が佐世保市に無償で譲渡する方針が決まった。旧海軍時代に弾薬倉庫として利用されていた音楽室は、日本遺産「鎮守府」の情報をまとめるガイダンス施設として整備する予定。中心地に近い立地を生かし、市民と観光客が地域の歴史に触れながら憩うことができる「歴史公園」を目指す。
立神広場は広さ約5060平方メートル。市は国からの管理委託を受け、1988年から暫定的に利用してきた。ゲートボールやソフトボールができる場所として市民に開放していたが、利用者の減少で2005年に廃止した。
旧海軍の小型弾薬倉庫だった音楽室は、れんが造りの平屋建てで広さは約180平方メートル。市内の音楽サークルやバンドの練習場として、毎年延べ1300人程度が利用している。
国から今後の活用方針を示すよう求められていたことから、市は18年度に立神広場の整備活用基本計画を策定。文化遺産や史跡の保護と維持、歴史の継承などを目的に設置する歴史公園とする方針を決めた。
音楽室は、市内に点在する鎮守府の構成資産について映像などで情報を発信する施設として整備。観光の出発地点の機能を持たせ、全国的にも数が少ない明治初期の倉庫建築物を体感してもらう場にする。
佐世保重工業(SSK)佐世保造船所が隣接する立地を活用し、造船所のクレーンや倉庫を眺められる築山も整備する予定。周辺を巡るための自転車の貸し出しも可能か検討する。イベントを開くことができる多目的広場や観光バスが駐車可能な駐車場も設ける。
22年4月の着工予定。現在は音楽室を利用する団体側と、市内の別の施設に音楽練習場の機能が移せないか調整を続けている。市教委文化財課は「にぎわいづくりに貢献できると期待している。幅広い人に使ってもらえる場所にしたい」とした。
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