今年、長崎県を含む九州北部地方に接近した台風が、20日時点で1個にとどまっている。長崎地方気象台によると、9月末時点で接近数が1個だったのは、統計を始めた1951年以降、2008年以来15年ぶり。4月から8月にかけて、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが例年と比べて強く、9月に発生した台風が少なかったことが要因とみられる。
台風の中心が山口、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本各県のいずれかの気象台などから300キロ以内に入った場合を接近という。今年、九州北部地方に接近したのは台風6号のみで、8月9~10日にかけて本県を暴風域に巻き込んで北上した。
九州北部地方に接近した台風の平年値(1991~2020年の平均)は3.8個。年間でみると、04年の9個が最多で、1955年と2018年が8個と続いた。19~22年は3~5個で、平年値並みか、やや上回る程度。接近がゼロだったのは1988年と2001年だった。
通常、日本周辺での台風の発生や接近のピークは8~9月とされている。年間発生数の最多は1967年の39個、最少は2010年の14個。近年の年間発生数は▽22年25個▽21年22個▽20年23個▽19、18年各29個-と20個台で推移するが、今年は10月18日現在、前年同期より5個少ない16個。気象台は理由について、今年9月中旬から下旬にかけて、フィリピン東方の低圧部(モンスーントラフ)が弱かったことなどが考えられるとしている。
日本に上陸した台風で最も遅い時期だったのは、和歌山県白浜町の1990年11月30日。気象台によると、9月後半から10月にかけて発生する台風は勢力が強い傾向にある上、今年は海面水温が高いことなどから、11月まで油断は禁物としている。