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TopInterview

挑戦、変革、貢献―。
社会・経済環境が激変する今、求められているものは何か。 新たな時代を切り開く県内企業・団体のトップ110人が、戦後80年を迎える2025年の抱負や事業戦略、地域への思いを語ります。

マル井水産

代表取締役社長

井上 太喜

マル井水産 井上 太喜

所在地 雲仙市南串山町丙333

電話 (0957)88-2080

マル井水産

代表取締役社長

井上 太喜

最新技術で持続可能な漁業を

 1907年に創業し、73年、4代目で現会長である私の父、幸宣がカジキマグロ流し網漁業をスタート。90年に会社を設立し、養殖業も始めました。売り上げは順調でしたが、99年、東シナ海の暫定措置水域が設定され、従来の大目流し網漁業の継続が困難に。ちょうどその頃、サンマ漁船を手に入れるチャンスに恵まれ、サンマ漁事業をゼロから立ち上げました。現在、長崎県の会社で唯一、サンマ漁を行っています。
 大学在学中、私は研究室でLED漁灯の開発に関わっていました。2006年から自社の船で始めた試験運転で大きな成果を確認し、15年、ついに弊社の漁船が初めてサンマ漁獲高日本一を記録。その後18年まで連続日本一をキープできたのは、恩師や師匠など人との出会いのおかげ。現在も新しいLED素子が開発されるたび、試用・検証に協力しています。弊社の基地がある宮城県の気仙沼では、東日本大震災の際、多くのサンマ漁船が被災。現在、復旧船の約8割がLED漁灯を採用しているのは、効率的な集魚、コスト大幅削減、安全性が認められた結果です。
 前季、私は漁労長として初めてサンマ水揚高日本一を獲得し、「日本一の漁師になる」という幼い頃の夢を叶えました。これに満足せず、最新技術を用いた漁業を積極的に展開します。弊社が所持する3隻の漁船は、棒受け網漁船兼大目流し網漁船として国内で唯一、食品の安全性を確保する国際的な工程管理システム「EU HACCP認証」を取得。
 情報収集能力の向上や操業の高効率化、担い手の育成によって、「持続可能な漁業」を目指します。